アイディア発想力を活性化するフランシスコ・ベーコンの帰納法


またまた「IDEA HACKS!」からひとネタ。帰納法を使ってアイディア発想力を活性化する方法を紹介します。
演繹法帰納法というふたつの思考法をご存知でしょうか?論理展開を目的とされて発明された思考法のようです。これらの長所や短所を理解して使いこなすことで、アイディア発想力を豊かにすることができるそうです。
まずは、この2つの思考法を理解しましょう。

演繹法 (えんえきほう) deducere

演繹法とは?

アリストテレスが体系を構築したとされる思考法で、一般的・普遍的な前提からより個別的・特殊的な結論を得る推論方法。一般化した演繹法の代表例として「三段論法」と呼ばれる論法があります。「大前提」「小前提」から「結論」を導き出す手法です。前提が真であれば結論も必然的に真であることがポイントですね。(ちなみに、数学は演繹法を用いて得られる事実のみを扱う学問です)

有名なソクラテスの例
 ・全ての人間は、いつか死ぬ。 「大前提」
 ・ソクラテスは人間だ。 「小前提」
 ・だから、ソクラテスはいつか死ぬ。 「結論」

よく聞かれる根拠のない結論(根拠のない前提を使用した結果)
 ・A型の人は几帳面である。 「大前提」
 ・彼の血液型はA型だ。 「小前提」
 ・彼はきっと几帳面な人だ。 「結論」

演繹法の欠点

適切でない前提、または範囲が限定されている前提を用いて全体を結論付けてしまうことがある点です。

帰納法 (きのうほう) Induction

帰納法とは?

哲学者であるフランシスコ・ベーコンによって提唱された思考法で、個別的・特殊的な事例から一般的・普遍的な規則を見出そうとする推論方法。前提が真であるからといって結論が真であることは保証されないことがポイントですね。

有名なソクラテスの例
 ・ソクラテスは、死んだ。 「事例」
 ・プラトーも死んだ。 「事例」
 ・彼らは共に人間だ。 「事例」
 ・だから、人間は全員いつか死ぬ。 「結論」

誤った結論を導く例
 ・ビールには水が入っている。 「事例」
 ・ウィスキーにも水が入っている。 「事例」
 ・ブランデーにも水が入っている。 「事例」
 ・水を飲むと酔っ払う。 「結論」

帰納法の欠点

仮説の網羅性・信憑性が低い場合に、誤った結論(推論)が出やすい点です。

演繹法帰納法をアイディア創造に利用する

さて、アイディアを発想する時には、どちらの思考法がより適していると言えるでしょうか。
(ここから先は私の独断と偏見によるものです。)
結論から言えば、両思考を適材適所で使い分ける必要があります。
やりたい事が明確に決まっていて、それに対するステップや必要な材料に関するアイディアを求める場合は、「やりたいこと」という前提がハッキリしているので、演繹法が適していると言えます。「私はこれがしたい」→「そのためにはこうする必要がある」→「よってこうする」と素早く確実に結論に到達できるでしょう。
一方、自由に新しいアイディアを発想するような場合は帰納法が適していると言えます。帰納法の欠点でも紹介した「前提が真であるからといって結論が真であることが保証されない」ことこそがその理由です。求めていた結論とまったく違う方向の結論を導き出す事がある帰納法こそ、奇想天外な新しいアイディアを創出するのに適した思考法だと思います。ですが、何もない白紙にいきなり、帰納法の材料となる「事例」を列挙しなさい!と言われてスラスラ書けるものではありません。(これができるなら思考法なんて学ぶ必要もないですよね)
ということで、帰納法の「事例」を発想するための方法を以降で紹介します。

帰納法の「事例」を発想するのに使えるツール

二項対立

二項対立とは、一方を主体としたした時、対極側に位置するものと対比する考え方です。たとえば、「仕事のできる男性の秘訣」を題材とした時、「仕事のできる」<=>「仕事のできない」を二項対立としてとらえ、「仕事のできない男性の秘訣」を考えてみる。また、「男性」<=>「女性」を二項対立としてとらえ、「仕事のできる女性の秘訣」を考えてみる。これらの情報を収集していくことでアイディアの幅を広げていくことができます。

トライアングル

ものごとは全て3要素で捉える事ができるという仮説のもと、あるテーマを3つの要素に分けて考える方法。たとえば、「豊かな人生」を題材とした時、「人生」を「仕事環境」「家庭環境」「人脈」の3要素に分けてみると「豊かな仕事環境」「豊かな家庭環境」「豊かな人脈」というキーワードが出力されます。これらの情報を発展していくことでアイディアの幅を広げていくことができます。

まとめ

このように演繹法帰納法を理解することで、適材適所で使い分ける事でアイディア発想力を向上できそうです。二項対立やトライアングルも積極的に利用して幅のあるアイディアを発想しましょう。